携帯電話を携帯してなかったがために苦労した話。

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2年前の出来事。
仕事が終わって住んでいる賃貸アパートに帰った私は、部屋着に着替えてから、ご飯の支度をしようとしたタイミングで調味料の買い忘れに気が付いた。
私は一応女性なので、人の多い駅前のスーパーに買いに出るには部屋着は恥ずかしいと思い、歩いて行ける近所のコンビニで用を済ませようと、もう一度出かける事にした。
ちなみに私の仕事はシフト勤務。日によって帰る時間もご飯を食べる時間もバラバラで、その日は帰ってきたのが22時半、コンビニに買い物に出たのが23時頃だった。
買い物を終えて、自宅アパートに戻り、普段通り部屋の鍵を開けようとした瞬間。
ここで補足だが、私の住んでいるアパートは築40年以上は経つ物件で、玄関ドアは昔ながらの横にスライドさせる引き戸タイプ。
築年数が経っている事もあり、鍵をさした時にうまく鍵が回らない事もあったりしたので、その内どこかのタイミングで大家さんに話しておこうかと常々考えていた。
そして、このコンビニからの帰り、ついに事は起こってしまった。
鍵を入れて、回した瞬間。
いつもと違うばきっという音。
手元に残った鍵はちょうと半分だけ、残りの先端部分は鍵穴に入った状態で折れてしまっていた。
やっぱり早めに大家さんに伝えておくべきだったと一瞬思ったのも束の間で、次の瞬間どうやって中に入ればいいのかパニックになってしまった。
なぜなら、近所のコンビニに行くだけのつもりだったから、スマホは持ち歩いておらず家の中。
どうやって鍵屋さんを呼んだらいいのか分からない。
そもそも、こんな遅い時間に来てくれる鍵屋さんを探そうにもスマホがなければ調べようもないし、呼ぶことすら出来ない。
私は都内に一人で住んでいるのだが、近所に友人がおらず、また賃貸に住んでいるとご近所さんとも特に交流がないので、電話を借りたりする当てもない。
途方に暮れた私はとりあえず駅前にある交番に駆け込むことに。
事情を説明し、業者に連絡を取りたくても手段がないことを簡潔に話したところ、話を聞いてくれたお巡りさんは「それは大変ですね」と言いながら、分厚い電話帳とメモとペンだけ手渡してきた。
電話はお借り出来ないのですか?と伝えたら、交番とは言え、さすがに警察の番号から業者への問い合わせは出来ないらしく、丁寧に最寄りの公衆電話の場所を教えてくれた。
念のため4,5か所の業者の連絡先を控え、教えてもらった公衆電話まで歩いていく。
歩きながら、ふと考えた。
最近はみんな当たり前に携帯電話を使っているから、公衆電話があっても意識しないで通り過ぎている。
お巡りさんに教えてもらってなかったら、公衆電話さえ見つけるのに苦労したかも、と。
そうこうして、公衆電話から鍵の修理業者に連絡が取れ、1時間後に無事に合流することが出来た。
鍵穴部分に折れた鍵自体が入ってしまっているので、パーツごと交換してもらうことになった。
修理してしまえばあっという間だったのだが、修理を終えて、業者さんが帰り、自分が家の中に入った時はもう夜中の1時を過ぎていた。
コンビニに買い物に行くだけのはずだったのに、スマホを持ち歩かなかったがために、色々な不便さを体感してしまった1日だった。